血虚と瘀血(おけつ)の改善法とは!
気・血・津液
血虚と瘀血とは
東洋医学では血が不足することを血虚(けっきょ)と呼び血が巡らない状態を瘀血(おけつ)と呼びます。
西洋医学で言うところの貧血やドロドロ血液に似た状態です。
認識としては同じなようで、少し違います。対処法を間違えると改善にはなりませんよ。
こちらでは両者の違いを比較しながら体調不良の改善法について書いていきます。
人物紹介
澤 楽(さわ らく)
東洋医学をベースに経絡内臓整体で身体の体質改善を目指す鍼灸マッサージ整体師。 栄養学に薬膳も組み合わせて本当の健康を実践している。インサイド整体で様々な疾患を解消しています。
東洋医学の血虚と瘀血
まず血虚とは状態としては量の不足か質が低い状態です。
血虚の特徴としては乾燥肌にめまいや立ちくらみ、冷え性と貧血に似たような症状が出ます。
さらに月経の遅れなども血虚だと考えます。
西洋医学の貧血との違いはホルモンの存在ですね。
また瘀血は、
- 頭痛
- 腰痛
- 身体の痛
- 肩や背中のこり
などの血行不良の症状が挙げられます。
さらに手足のしびれや、手足の先が冷えるなどの血管の絞扼症状や、生理痛などの緊張が強くなる症状に着目しています。
これは血液の状態だけでなく、流れが滞る原因に骨格や筋肉による、物理的な緊張や圧迫も視野に入れている事が分かりますね。
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貧血と血虚の対処の違いに気をつけよう
貧血に対しては、鉄分が不足しないよう日頃から鉄分摂取を意識した食生活を勧めます。
これは貧血の原因が、主に酸素にあると考えているからですね。最近では、鉄分のサプリを飲めば改善されるという広告もありますね。
たいして血虚の対処は、
- 黒ゴマ
- 黒砂糖
- レバー
- ほうれん草
といった肝臓や腎臓を元気にする食事を勧めます。
サプリのような単一の栄養素を勧める事はありません。
これはホルモンまで視野に入れれば当然で、血虚を根本的に解消するには血(栄養)を充実させることになるからです。
血虚は単なる栄養不足ではなく、栄養を吸収できていなかったりホルモンを作れなかったりする身体の弱りなのです。
だからこそ血虚の症状を解消するには、身体の機能を高めて血(栄養)を充実させることなのです。
ドロドロ血液と瘀血の対処の違い
ドロドロ血液の原因は、血液中の脂質のコレステロールや中性脂肪が多いのが原因と考えられています。
対処としては水分を多く摂りコレステロールや中性脂肪を減らした食事を推奨します。
瘀血の原因は血液成分よりも精神的なストレスなどを視野に入れます。
つまり神経の興奮で筋肉が緊張し血流が減る事で状態が悪化すると考えていますね。
両者とも改善には
- 青魚
- 納豆
- ネギ
- 梅干し
などが共通します。
しかし、チョコレートやお酒に関しては意見が分かれます。
ドロドロ血液にはチョコレートは良くて、瘀血にはお酒は良いとされますが、どちらも適量なら問題はありません。
ちなみに長時間、座っていたらお尻が痛くなってくるのが瘀血ですね。
要は血の滞りを教える身体のサインですね。
肩こりも同様のメカニズムで、瘀血が原因で起こります。
マッサージで一時的にマシになるのは血流が良くなるからですね。
しかし瘀血の原因を解消しない限り、また流れが滞り肩こりを感じるのは当然ですね。
だから、食事などから瘀血の原因を取り除くのが重要なのです。
昔の食卓に健康のヒントがあった!
食事が充実しだしたのは、江戸時代からと言われます。
その時の内容が、
- ご飯
- 漬物
- 味噌汁
- 魚
などが主流であったと言われます。
魚と言っても小魚ですし、味噌汁の味も今よりずっと薄いらしいです。
みそ汁の具も少なく、栽培の手軽な芋がほとんどだったそうですね。
これは、現代の栄養学から見たら明らかに栄養不足で、気虚(代謝不足)と血虚(栄養不足)になる食事です。
なぜ昔の人は元気だったのでしょうか?
そのヒントが薬膳における五味にありました。
五味の基本的な考え方は
酸味だけでも
- 肝を強くする
- 腎を助ける
- 肺を休ませる
- 心臓の働きを調節する
などの作用があります。
苦味であれば、
- 心臓を強くする
- 肝を助ける
- 腎を休ませる
- 消化器の働きを調節する
作用があると言われます。
他の味でも甘味は
- 脾を強くする
- 心を助ける
- 肝を休ませる
- 肺を調節する
となります。
辛味は
- 肺を強くする
- 脾を助ける
- 心を休ませる
- 腎を調節する
とあり、
塩味は、
- 腎を補い(強くする)
- 肺を助ける
- 脾を益する(休ませる)
- 肝を収める(調節する)
とあります。
つまり全ての栄養を摂らなくても、それなりに各内臓を調節してくれるという考え方ですね。
考えてみれば当然の話で、特定の栄養だけが身体に良い悪いの影響を与えるとは考えにくいですから。
それらを踏まえても昔の食事は麦飯と汁物、漬物を基本としていたので、
- 漬物の酸味と塩味
- 麦飯の炭水化物による甘味
- 汁物には葉物の苦味と薬味の辛味
を利用することで五味は完成していました。
特に漬物や酢の物はバリエーションが多く、地域ごとによる特色もあり、旬の野菜を日持ちするように工夫して作られていました。
そして、魚や肉は多くはありませんが、日持ちする形で日々の食事に取り入れられるように工夫していたので、自然と干物や酢でしめる形が多かったので、乳酸菌も豊富で栄養価が高く季節に適した食事になっていたのです。
特におせちに入っている
- 数の子
- 歯固め
- 黒豆
- 餅
などは、寒い冬を乗り切るための塩味を含んだ質実剛健な内容となっています。
そして、正月終わりに七草粥を食べて、胃腸を整えるのも実に理に適った食養生ですね。
そして、タンパク質は主に魚と肉で摂っていました。
その中でも、
- どじょう
- ネギ
- ゴボウ
- 卵
で綴じた柳川鍋と呼ばれるものは冬の風物詩とされていました。
また血虚の人には緑の野菜も良いですよ。
緑の野菜には、クロロフィルという栄養素が含まれ、血液中のヘモグロビンと似た構造を持ち、造血作用に優れた栄養素です。血虚の改善には最適ですね。
- 血液をサラサラにする
- コレステロールを排泄する
作用があるので、動脈硬化の予防にも効果的です。
クロロフィルを含む
- ほうれん草
- 小松菜
の効果的な調理法は熱を加えることです。
熱湯にさっとくぐらせておひたしにしたり、油で炒めると、効果的に取り入れることができます。
おひたしは優れた栄養摂取の昔からの知恵ですね。
ツボと経絡
身体の中の指示は、電気信号で行われますが人間の身体の皮膚表面は、絶縁状態で電気を通しにくくなっています。
その体表部に通電していると、急に電気が通りやすいポイントが出現します。
これが東洋医学におけるツボと考えられます。 そして、体内組織の営みを反映するような変化を現したりします。
つまり、ツボは体内と体外 とのエネルギーの交流点と言えそうですね。
実際に、電位差の変位は科学的に証明されているので、その電位差をどう解釈するかですね。
東洋医学の治すとは
健康な人でも、無理をすれば痛みが出たり不調になったりするのは当然ですよね?
身体を鍛えれば、強くなったように感じますが、風邪を引くし筋肉痛にもなるでしょう。
理想とする身体は、何か問題が生じても早い段階で自己治癒出来る状態です。
以前、SARSが流行った時に、有効な薬は見つかりませんでしたが、東洋医学の処方で早期の改善が見られたのは有名な話ですね。
西洋医学では、原因を特定して対処するので、原因を発見できれば、一定の成果を上げるのは確実です。
代わりに、原因を発見できない時や、特定できない時は成果を上げるのは難しいですね。
東洋医学では、相手の体質診断に重きを置いているので、一度成果を上げればだいたいの症状に対処できます。
経穴(ツボ)の便利な所は、薬と違って刺激量を加減しやすいという点ですね。
鍼灸の世界では、症状に対するアプローチではなく、相手の体質を診断し改善するようにアプローチします。
そのため、症状の改善に時間がかかっても、再発は極めて少ないと言えますね。
鍼灸で使う経穴(ツボ)は、筋肉に作用するものもあれば、気血津液を整えるものもあるので症状によって使い分けます。
そのため、経穴(ツボ)の中でも使い方が違う事が、余計に不思議な印象を与えるかもしれませんね。
漢方薬では、血虚や瘀血の解消には当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)を使うのが一般的です。
目のクマの元になる瘀血(おけつ)を改善するツボ4選
①太衝(たいしょう)
場所は足の親指と人差し指の間の分かれ目です。
軽く押しても肝臓に不調があると少し痛みを感じます。
時計回りに30秒ほど刺激しましょう。
②膈兪(かくゆ)
場所は肩甲骨の下角を結んだ線上で背骨の両側1寸(約2cm)です。
血流を整えるので貧血からくすみなどまで幅広く効きます。
ゴルフボールなどの硬い物を置いて寝転んでも良いですしストレッチポールなどを置くのも良いですね。
3分ほど寝転んでおきましょう。
③三陰交(さんいんこう)
場所は内くるぶしの上4,5寸(約9cm)で血流の悪い人は痛みます。
血流の改善ツボとして有名で、
- 生理不順
- 生理痛
などの婦人科疾患にも有効ですね。
指腹で優しく押して30秒ほど待ちましょう。温まってきたらOKなのでカイロなどで温めても良いですね。
④血海(けっかい)
膝の皿(膝蓋骨)の内側の上の角から上2寸(約4cm)です。
全ての川が海に帰るように血の帰る脾へと押し流します。
親指で強めに30秒くらい押しましょう。じんわりと気持ちよくなります。
血虚を改善するツボ3選
①三陰交(さんいんこう)
場所は内くるぶしの上4,5寸(約9cm)で血流の悪い人は痛みます。
血流の改善ツボとして有名で、
- 生理不順
- 生理痛
などの婦人科疾患にも有効ですね。
指腹で優しく押して30秒ほど待ちましょう。温まってきたらOKなのでカイロなどで温めても良いですね。
②血海(けっかい)
膝の皿(膝蓋骨)の内側の上の角から上2寸(約4cm)です。
全ての川が海に帰るように血の帰る脾へと押し流します。
親指で強めに30秒くらい押しましょう。じんわりと気持ちよくなります。
③足三里(あしさんり)
膝の下の出っ張りの外側のくぼみです。ここを気持ち良いくらいに10秒ほど刺激しましょう。
胃腸を整えるツボで合谷と同じ四総穴の一つです。
身体全体の気血の流れをよくするので、どれだけ歩いて疲れてもここを刺激すればあと三里(12km)は歩けるという事から足三里です。
まとめ
東洋医学と西洋医学の認識には多少のずれがあっても全く違うところは少ないようですね。
ただ東洋医学は機械の存在しない時代からあったので数値的な物を重要視しません。
重要なのは症状であり日々の生活習慣です。
原因無くして悪い結果にはなりません。
ほとんどの症状は薬に頼らなくても生活習慣の工夫だけで改善できることを覚えておいてくださいね。
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筆者:澤 楽
鍼灸マッサージ師で東洋医学と西洋医学の融合と併用を目指しています。
農学部出身なので栄養学から見た薬膳についても書いていきます。普段は大阪市中央区のほのか整骨院で院長をしています。
澤楽はペンネームです。
ほのか整骨院