東洋医学から見た機能性ディスペプシアは肝胃不和
健康法
人物紹介
澤 楽(さわ らく)
東洋医学をベースに内臓整体で身体の体質改善を目指す整体師。
栄養学に薬膳も組み合わせて本当の健康とは何かを考えている。
澤楽「今日も皆さんの健康のために解説します」
胃弱は絶対に治らないのか?
腸の不調で腹痛が起こる。
消化不良が日常だ。
ピロリ菌や胃カメラの検査は異常なし。
胃腸に異常がなくても起こる不定愁訴は機能性ディスペプシアと呼ばれます。
こちらでは機能性ディスペプシアと東洋医学から見た胃腸の対処法について書いています。
機能性ディスペプシアとは
機能性ディスペプシアとは聞きなれない病名ですが、現代人の四人に一人はかかっていると言われます。
簡単に言うと胃腸そのものには異常は発見されないが、何らかの理由で胃腸の機能が低下している状態です。
胃の機能は人によって差がありますが、弱い人は常に胃の不快感やムカムカに悩まされています。
- 消化不良
- 腹痛
- 膨満感
などは病院では胃下垂と診断されやすい症状です。
胃は食事をとると胃壁の緊張が緩んで広がるのが普通ですが、上手く胃が緩まずに腸に送られて行かないと、お腹が張った感じや痛みなどの症状が起こります。
または、胃での消化が不十分なために小腸で渋滞し、長く胃にとどまっている場合もあります。
消化力が低下する原因としては、
- 睡眠不足
- 野菜が不足した食事
- 脂質の多い食事
などの生活習慣や食習慣の乱れが原因である場合が多くあります。
胃もたれの原因の一つには消化ホルモンであるコレシストキニンが関係します。
コレシストキニンは過剰に摂取した脂質を吸収するために胆汁を排出するホルモンです。
同時に胃の働きを抑制します。
一度に多くの脂質が腸に流れ込まないように制御しているのです。
そのため、脂質の過剰摂取と胆汁を作る肝臓の機能低下はどちらも胃もたれの原因となります。
基本的には高カロリー脂肪食を避けることは大切です。
結局のところ、自分の容量を超える食事量を摂取していれば身体には不調が現れます。
さらに人間の身体は消化と排泄に多くのエネルギーを必要としているので、消化力が低い人が多くの食事をとれば消化にエネルギーを使われ過ぎて胃腸は疲労します。
ですが、筋肉疲労と同様に内臓の疲労は検査には異常は現れないので原因不明とされやすいのです。
東洋医学の胃腸の養生法
東洋医学では胃もたれとは胃や十二指腸の運動機能の低下により食事が残っているような状態と考えます。
そのため、みぞおち付近の痛みや腹部膨満感は消化管の運動機能を向上させることを第一とします。
基本的に胃が不具合を起こすというより小腸での渋滞が問題となります。
もちろん、胃の粘膜の分泌が不十分だったり、胃酸の分泌が過剰だったりすることも多くあります。
ですが、小腸での渋滞が原因で胃の滞留が長引いているほうが不調を感じやすいのです。
胃での滞留は主に小腸で脂質の吸収が不十分なために起こるので脂質のコントロールが重要です。
加えて胃の粘膜が荒れている人ほど胃の不調は現れます。
この状態を東洋医学では肝胃不和と呼び、胃潰瘍などの原因とも考えられています。
胃の粘膜はムチンと呼ばれる糖たんぱく質でできたねばねば成分なので、胃に不調がある人ほど意識して摂取することが大切です。
さらにムチンの産生を促すのがビタミンAなので、ビタミンAの摂取も併せて行うと効果的です。
ムチンを多く含む食品は、
- 納豆
- ヤマイモ
- ナメコ
- 明日葉
などがあり、
動物性のビタミンAであるレチノールは、
- 鶏・豚・牛のレバー
- うなぎ
- 卵黄
- チーズ
といった動物性食品に多く含まれています。
ビタミンAの原料になるカロテンは、
- 海苔
- しそ
- ほうれんそう
- にんじん
- カボチャ
などに含まれます。
胃の機能を整えるポイントは、
- 休息
- ストレスの発散
- 十分な睡眠
となり肝機能を高めることと同じになります。
肝機能の向上が胃の粘膜の産生を促すからです。
基本的に糖質や脂質などのエネルギー源がないと身体の回復が行われないので、活動前にはエネルギー源を補給しておかないと身体は回復しません。
また、食事内容としては
- 白砂糖
- 時間のたった揚げ物
- 刺激物(カフェインや辛いもの)
などの分解に時間がかかるものは控えましょう。
また、白砂糖を含む生クリームやチョコレートなどは食べる時間にも注意が必要です。
3時のおやつに食べるくらいは消化力が高いので問題はなくても、晩ご飯の後に食べるのは大問題です。
人間の消化力が最も高まっているのが12時~15時くらいなので、その時間に食べても平気でも、消化力が落ちる17時以降に食べ過ぎれば胃には多くの負担となるからです。
また、胃に熱が溜まっていると生あくびやため息が出やすいのも特徴です。
普段から胃弱でため息が多い人は声を出すのが一番の養生法になります。
たくさん話したり歌ったりすることが胃の熱を吐き出し、胃の機能回復を促します。
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まとめ
胃の不調を感じるけど異常が見つからない機能性ディスペプシアは実は多くの人がなっています。
ですが多くの場合は胃の問題というよりも肝臓の問題ということが多いのです。
そのため安易な薬の服用は肝臓に負担をかけるので逆効果の場合もあります。
大切なのは胃腸の機能低下が起こる原因を特定して、しっかりと対処していく事になります。
基本的には胃の負担を和らげて、肝機能を向上させてストレスを発散させるのが胃の機能を回復する近道です。
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筆者:澤 楽
鍼灸マッサージ師で東洋医学と西洋医学の融合と併用を目指しています。
農学部出身なので栄養学から見た薬膳についても書いていきます。普段は大阪市中央区のほのか整骨院で院長をしています。
澤楽はペンネームです。
ほのか整骨院