東洋医学における肺と大腸の関係
内臓
肺と大腸
大腸を助ける肺
東洋医学から見ると、肺は呼吸によって身体の気(代謝)を統括しています。
肺が一定のリズムで呼吸を行うことで、全身の気(代謝)が行われ血(栄養)や津液(水分)の運行がスムーズに行われます。
つまり全身の代謝や血行は、肺のおかげで上手く機能します。
過労や精神疲労による浅い呼吸は、肺の機能が低下して全身の気血津液のリズムが乱れて疲労や倦怠感が強くなります。
肺は寒さに弱いので、寒いと肺の機能低下が起こり栄養を指先まで循環できなくなると指がかじかんでしびれます。
人間の呼吸は肺による呼吸だけでなく、皮膚も呼吸しています。
そのため、寒さなどの外からの影響を最初に受けるのは呼吸器なのです。
外からの影響とは、
- 気温差
- 気圧差
- 湿度
になります。
肺が弱い人はこういった気象条件が変わるだけで、すぐに不調になります。
そして、肺は他の内臓への影響が大きいので、肺が弱いということは風邪を引きやすい体質になります。
だから子供の時に鍛えておきたい内臓は肺になります。
津液(水分)の代謝は、メインが肺で他にも脾(膵臓)や腎、三焦(リンパ)、膀胱によって行われています。
痰や鼻水が多い人は、肺の機能が低下して溢れた水分が上部から出てくる現象です。
肺と大腸の関係
大腸の蠕動運動は、肺が気血津液を調節してくれるから正常な機能を保てます。
風邪をひいて肺の動きが悪くなると、大腸の蠕動運動も低下して便秘になります。
反対に便秘をしていると呼吸が浅くなったりします。
乾燥して呼吸が浅くなりやすい秋に便秘が起こるのは、肺の機能低下による気血津液の調節が上手くいかなくなるからです。
東洋医学の専門用語では、肺には宣発(せんぱつ)と粛降(しゅくこう)という作用があります。
宣発とはエネルギーや水分を全身に巡らせる作用です。
粛降とは、身体の下へ向かってエネルギーを降ろし大腸の働きを整えることになります。
肺の働きが悪くなることで、咳や痰に上半身のむくみなどが起こり、結果として大腸の水分代謝も悪くなることで便秘が起こります。
肺と大腸は直接は繋がっていないので、何も関係がないように思えますが喫煙で大腸がんリスクが高まる可能性があるとの研究もあります。
東洋医学の薬膳では、肺を潤す梨は便秘解消にも効果があることを経験的に知っていました。
また漢方で使われる阿膠(あきょう)という生薬は、肺の機能を高め大腸を整える作用があり、肺と大腸の関係をよく分かっています。
阿膠は高齢者や虚弱体質の方の便秘に用いられています。
肺も大腸も単独では元気にならない!
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筆者:澤 楽
鍼灸マッサージ師で東洋医学と西洋医学の融合と併用を目指しています。
農学部出身なので栄養学から見た薬膳についても書いていきます。普段は大阪市中央区のほのか整骨院で院長をしています。
澤楽はペンネームです。
ほのか整骨院