澤楽が東洋医学の気血津液について解説!
東洋医学と西洋医学の違い
人物紹介
澤 楽(さわ らく)
東洋医学をベースに内臓整体で身体の体質改善を目指す整体師。
栄養学に薬膳も組み合わせて本当の健康とは何かを考えている。
「分からないようで実は簡単で生活に密着している東洋医学の気血津液について解説します」
気
気と聞くと不思議なものでうさん臭く感じる人もいるかもしれませんが、私は気は代謝によって生まれる産物だと定義します。
つまり気(代謝)とはエネルギー物質であるATPや熱だったり、ホルモンであったりたんぱく質だったりと考えます。
気の機能と言えば、
- 推動(すいどう)作用
- 防御作用
- 固摂(こせつ)作用
- 温煦(おんく)作用
- 気化(きか)作用
推動作用とは成長や発育させる作用で身体に栄養を運び、ホルモン分泌などを行い代謝を促進します。
ホルモンバランスが乱れたり疲れやすく、疲れがとれない人は気(代謝)が足りないのです。
そのため、
- 更年期障害
- 慢性疲労症候群
- 副腎疲労
などは典型的な気(代謝)の低下です。
防御作用とは免疫機能のことなので、主に白血球やリンパ球の産生と免疫反応を起こします。
普段から風邪をひきやすい人は気(代謝)が低いと言えます。
また、
- 花粉症
- 気管支喘息
- アトピー
などのアレルギー反応は気(代謝)の異常と言えます。
気(代謝)は高すぎても低すぎても異常なので中庸(どちらでもない)がベストの状態と考えます。
固摂作用とは異常発汗や出血、失禁を抑制することなので、鼻の粘膜が弱く鼻血などが出やすい人は気(代謝)が弱っていると言えます。
また、気(代謝)は年齢とともに衰えるので高齢者の失禁は気(代謝)の衰えと考えます。
- 多汗症
- 潰瘍
- 尿崩症
なども気(代謝)の衰えと言えます。
温煦作用は字の通り身体を温める機能であり熱を運ぶ機能です。
冷え性のように体温が低く四肢末端の冷えがきつい人も気(代謝)が低いと言えます。
気化作用は気(代謝)で生まれたものを血(栄養)や津液(水分)に転嫁する作用です。
気(代謝)が低いと消化や吸収力も低くなるので血(栄養)を取り込むことができません。
- 胃下垂
- 逆流性食道炎
- 過敏性腸症候群
なども気(代謝)が低いために身体の許容量が少なく、対応できないものが吐き出されたり下痢したり、胃に長く留まったりした状態です。
気(代謝)で作られた様々な物質はストレスや疲労で消耗するので、ストレスが多く過労な人や睡眠不足や栄養不足で気の源が不足している人は気(代謝)が低くなります。
血
血は呼んで字のごとく血液のことではありますが、現代医学との違いは概念の広さです。
東洋医学でいう血には、
- 身体を栄養する
- 潤す
- 精神活動を支える
などの機能を総合的に考えています。
気(代謝)によって栄養を吸収したり、栄養物質を合成したりしますがそれらを全身に巡らせるのが血(栄養)です。
身体に血(栄養)が巡っていれば顔色が良くて皮膚にも潤いがあり気持ちも安定します。
そのため血(栄養)が運ぶのは、
- ATP
- 酸素
- 糖質や脂質、たんぱく質などの栄養
- ホルモン
などと代謝に必要な全てです。
当然、血(栄養)が不足すると
- 貧血
- めまい
- 肌荒れ
- 不眠
- 物忘れ
などの身体症状だけでなく精神症状も出るのが特徴です。
また血(栄養)の影響は生理がある女性の方が大きいので、
- 生理痛
- 生理不順
- PMS
- 不妊症
などの原因とも考えられています。
さらに独特なのは、血は脾(ひ)で生成されるという点です。
心(しん)の力で運ばれて肝に蓄えられるというのは現代医学と同じです。
ですが脾は脾臓のことでなく、すい臓を指すと考えられているので、血(栄養)には血糖値の概念が含まれていたことも伺えます。
津液(しんえき)
津液(水分)とは身体を潤す水分の総称であり、
- 身体から排泄される涙や尿、汗
- 老廃物を運ぶリンパ
- 関節を動かす滑液
- 内臓を保護する粘膜
- 飲食物を消化する消化液
- 免疫の役割も果たす唾液
などが挙げられます。
これらの津液(水分)が滞りなく巡っている状態が健康で、滞ると
- 冷え性
- むくみ
- 不眠症
- リウマチ
などの異常が現れます。
また、各種の栄養素が吸収されるときにも津液(水分)は必要なので、慢性的な津液(水分)不足は血(栄養)の不足を招き、気(代謝)の低下も招きます。
津液(水分)の補給は純粋な水を飲むだけでは吸収率が低いので、
- ナトリウム
- カリウム
- カルシウム
- マグネシウム
などのミネラルのバランスも重要です。
そして津液(水分)の滞りは腎による不要なものの選別ができていない時に起こるので、補給も重要ですが排泄はさらに重要視されます。
まとめると
- 気(代謝)
- 血(栄養)
- 津液(水分)
は特別な考え方でなく、医療機器がない時代に経験的に気づいた身体の仕組みを表現した言葉です。
また東洋医学では気血津液の過不足と同様に滞りも重視しているのが特徴です。
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筆者:澤 楽
鍼灸マッサージ師で東洋医学と西洋医学の融合と併用を目指しています。
農学部出身なので栄養学から見た薬膳についても書いていきます。普段は大阪市中央区のほのか整骨院で院長をしています。
澤楽はペンネームです。
ほのか整骨院