東洋医学から見た潰瘍性大腸炎
健康法
現代医学では難病とされる潰瘍性大腸炎も東洋医学なら解決が見えてきます~
潰瘍性大腸炎とは
潰瘍性大腸炎とは、大腸の粘膜に炎症が起こる病気です。
炎症が起こると、
- 激しい下痢
- 血便
- 腹痛
- 発熱
などを伴います。
さらに症状が重症化すると、粘膜に潰瘍ができます。
幅広い年齢に発症しますが、20~40代が発症のピークと言われ男女差はありません。
自己免疫疾患の一つと考えられており、国の指定難病になっています。
潰瘍性大腸炎の特徴は、寛解期と活動期に分かれるという事です。
そのため、常に辛い症状がある訳でなく、大腸に炎症が起こる活動期に症状が現われます。
一定期間が経過すると、炎症が治まって症状も落ち着く寛解期が訪れます。
この活動期と寛解期を交互に繰り返すのが潰瘍性大腸炎の特徴で、完治が難しいと考えられています。
現在の治療では投薬により、活動期を少なくして寛解期を長くする事を目的とします。
基本的には炎症を抑えるアミノサリチル酸製剤を使います。
アミノサリチル酸製剤は、基本的には症状が治まっても寛解期を維持し続けるため飲み続ける必要があります。
大腸の炎症が慢性的に続くと大腸がんになるリスクが高まるので注意が必要です。
効果がみられないと、一時的にステロイドが追加されます。
ステロイドでも効果がみられない場合は、血球成分除去療法や免疫抑制剤が使われます。
重症の患者さんでは、大腸癌のリスクを減らすために大腸を全て摘出する手術を行うことがあります。
ただし手術を行うと排便回数が増えて、小腸に炎症が起きやすくなります。
東洋医学から見た潰瘍性大腸炎
東洋医学では、まず潰瘍性大腸炎を証で分類します。
潰瘍性大腸炎は、腸風(ちょうふう)や痢疾(りしつ)という病名で呼ばれ、
- 大腸湿熱
- 肝鬱脾虚
- 脾虚失運
- 腎陽虚
などの証に分類されます。
主な原因は情志失調や飲食不正などによります。
情志失調はストレスや自律神経の乱れを指し、飲食不正は乱れた食生活を指します。
大腸湿熱証は潰瘍性大腸炎の初期によく見られ、腹痛や激しい下痢が主な症状です。
排便してもすっきりせずに残便感があります。
肝鬱脾虚証は精神面の影響が大きく、ストレスを感じた時に下腹部が痛み下痢になります。
排便後は痛みが軽減しますが、食欲不振などが起こります。
脾虚失運証は一日に何回も慢性的な下痢症状が続きます。
常にお腹に張り感があり、消化不良に悩まされて疲れやすくなります。
腎陽虚証は潰瘍性大腸炎の中でも長期間に及ぶ慢性的な下痢になります。
特に明け方や早朝に発作的な下痢があり、寝ている時でも便意を催します。
そのため、潰瘍性大腸炎と一口に言っても急性期は大腸湿熱が多く、活動期または寛解期は肝鬱脾虚や脾虚失運となり、慢性期には腎陽虚となるのが一般的です。
潰瘍性大腸炎に使われる漢方薬
現代医学の治療では、活動期の炎症を抑えるという事が重視されています。
ですが東洋医学では、再び活動期に入らせない事を重視します。
東洋医学では扶正祛邪(ふせいきょじゃ)の考え方に基づき、
- 不足しているものを補い身体を強くする
- 身体にとって有害なものを取り除いて身体を弱らせない
を大切にします。
そもそも潰瘍性大腸炎の原因は不明とされていますが、炎症が起こるという事はどこかに弱っている所があるのです。
だから弱っている所を強くして、身体本来の機能を取り戻すことこそが重要なのです。
身体本来の機能を取り戻すことが漢方薬の効果です。
使用されやすい漢方薬は、
- 胃風湯(いふうとう)
- 四君子湯(しくんしとう)
などです。
胃風湯は、胃腸虚弱な人に適応です。
貧血の傾向があり、急性炎症期が終わり寛解期に入っても下痢や下血が継続する人におすすめです。
そのため炎症が激しくて体力のある人には向きません。
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四君子湯は脾気虚に適応です。
脾気虚は消化吸収力の低下になり、これに陳皮と半夏を加えれば六君子湯となります。
漢方薬の中でも基本的な処方で長年に渡って用いられています。
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四君子湯には、
- 気を補う人参と甘草
- 水分代謝を高める白朮
- 瘀血を解消する茯苓
などが調合されています。
どちらの漢方薬も身体を温めて気(代謝)を補い、身体を強くして大腸炎の再発を防ぎます。
胃腸を強くして再発予防!
そもそも身体を強くする効果は薬にはないからです~。
漢方薬は身体を根本的に強くすることで再発を防ぐのです~
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筆者:澤 楽
鍼灸マッサージ師で東洋医学と西洋医学の融合と併用を目指しています。
農学部出身なので栄養学から見た薬膳についても書いていきます。普段は大阪市中央区のほのか整骨院で院長をしています。
澤楽はペンネームです。
ほのか整骨院